NEWS PAPER東山便り

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東山デンタルクリニックの、院内新聞

フッ素ってなーに?

こんにちは、歯科医師の堀江です。みなさんフッ素って何者かご存知ですか?なんとなく歯に良いものと認識されている方が多い反面、体に害があるのではと心配されている方もいると思います。そこで今回、フッ素の効果や体への影響について詳しくお伝えできればと思います。

フッ素とは反応性の高い元素で、自然界では他の元素と結合してフッ化物として存在します。私たちが日常で摂取している飲食物(お茶、海藻、魚や野菜など)にも多く含まれており、体内においてはカルシウム・カリウム・ナトリウム・マグネシウム・鉄に次いで含有量の多い生体必須微量元素です。

ではフッ素は具体的にどのように歯に作用しているのでしょうか。歯はハイドロキシアパタイト(HA)という結晶でできており、口腔内細菌の排出した酸により溶かされます(=脱灰)。脱灰した歯は唾液中のミネラルにより再石灰化(再び結晶化すること)しますが、脱灰の繰り返しによりう蝕(虫歯)ができます。フッ化物の役割は、この歯面における“脱灰の抑制”と“再石灰化の促進”を行う作用と、“歯垢中の細菌が酸を産生するのを阻害する”作用の2つがあります。

日本でもフッ化物によるう蝕予防効果が認められ、1995年頃から歯磨剤へのフッ化物配合の動きが大きく進み、それに伴い下記グラフにありますように12歳児の1人平均永久歯う蝕経験歯数(DMFT指数)の下降が顕著となっています。

ではその安全性はどうでしょうか。フッ化物による毒性は、急性毒性と慢性毒性の2つがあります。急性毒性とは万が一大量のフッ化物を摂取した時に発現するもので、悪心・嘔吐・下痢さらに深刻な場合は心・腎・中枢神経に中毒作用を及ぼします。よって歯磨剤などは乳幼児の手の届かないところで保管する必要があります。

続いて慢性中毒ですが、これは歯のフッ素症が有名です。歯のフッ素症とは歯の成長期(生後から約8歳まで)に過剰なフッ化物が体内に取り込まれる事で起こるもので、歯全体がチョークの様に白くなってしまいます。これまでの疫学調査では日本の水質基準では起こりづらいとされており、井戸水の常用や海外の様に水道水にフッ化物が添加されている場合に起こる可能性が指摘されています。

私の娘も先月で1歳になりましたが、フッ素入りのジェルを少しつけて毎日歯磨きしていて、今では歯ブラシを取り上げると泣くほど歯磨き好きです(笑)フッ素は虫歯予防に大変有効で、用法用量を守った上でさらなる活用が広まればと思います。

東山院内新聞21年2月より

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